前鳥神社(さきとりじんじゃ)は神奈川県平塚市四之宮に鎮座する神社。
菟道稚郎子命を祀る神社は極めてまれで、東日本では当社のみと言われているそうだ。
明治の頃に村内日枝神社の祭神であった大山咋命を合祀、昭和61年(1986年)に日本武尊を合祀している。
平安時代に「四之宮」の地名が始まり、それ以前の奈良時代の諸文献に「さきとり」の地名が見えることから、この「さきとり」の地に住んでいた人々が清浄な場所を選んで奉祀したのが始まりではないかと言われている。
『吾妻鏡』建久3年(1192年)8月9日の条に源頼朝が北条政子の安産を祈願した神社として「四宮前取大明神」の名が見え、この時に神馬が奉納されているそうで、さらに建暦2年(1212年)には将軍家御祈祷所となったそうだ。
また、天正19年(1591年)11月、徳川家康より朱印状が下され社領10石が寄進された。また、天保12年(1841年)成立の『新編相模国風土記稿 巻之43』の記述から、この当時に四之宮村の鎮守とされていたことがわかる。