まだまだ「お伊勢詣で」が続いていきます。
別宮のなかでも、伊雑宮(いざわのみや)は、外宮・内宮から遠く離れた「遥宮(とうのみや)」と呼ばれる。
「磯部の大神宮さん」、「いぞうぐう」、「磯部の宮」とも呼ばれる、伊雑宮は、内宮(皇大神宮)別宮で、内宮背後の島路山を越えた志摩市磯部町上之郷にある。伊勢神宮別宮14社のうち伊勢国外のものは伊雑宮(志摩国)のみ。また神田を持つ唯一の別宮である。
伊雑宮は、10社ある内宮別宮の中で荒祭宮、月讀宮、瀧原宮に次ぐ順位とされる。また、志摩国一宮は鳥羽市の伊射波神社(いざわじんじゃ)と、ここ「伊雑宮」が志摩国一之宮となっている。
現在では、式年遷宮のためのお木曳行事が伊勢神宮に準じ20年に一度行われる。正宮では1年次と2年次の2回であるのに対し、瀧原宮と伊雑宮の別宮2社では1年次のみである。第62回神宮式年遷宮の伊雑宮御木曳は2006年(平成18年)4月16日(日曜日)に催された。第61回までは志摩市の磯部地域内のみだったが、合併による志摩市誕生により、この第62回では同市中心部の阿児地域内でも初めて曳かれることとなったそうだ。
他の境外別宮と同様、神職が参拝時間内に常駐する宿衛屋(しゅくえいや)があり、お札・お守りの授与や、神楽や御饌の取次ぎを行なう。
御祭神は、天照坐皇大御神御魂 (あまてらしますすめおおみかみのみたま)であり、804年(延暦23年)の「皇太神宮儀式帳」では天照大神御魂とされる。中世から近世の祭神には諸説あり、中世末以降は伊雑宮神職の磯部氏の祖先とされる伊佐波登美命と玉柱命(または玉柱屋姫命)の2座を祀ると考えられた。
伊雑宮御師である西岡家に伝わる文書において、祭神「玉柱屋姫命」は「玉柱屋姫神天照大神分身在郷」と書かれる。同じ箇所に「瀬織津姫神天照大神分身在河」とある。両神はつまるところ同じ神であると記されており、明治以降、伊雑宮の祭神は天照大神御魂一柱とされたそうだ。
また、伊雑宮に奉納する米の田植を毎年6月24日に行なう御田植式は、香取神宮・住吉大社とあわせて日本三大御田植祭とされる。御田植式での伝承芸能は、磯部の御神田(いそべのおみた)として1971年(昭和46年)に三重県の無形文化財に、1990年(平成2年)には国の重要無形民俗文化財に指定されたそうだ。