まだまだ、ご利益・パワースポット参り、お伊勢詣でです。

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江戸時代の浮世絵師が描くなど、三重県伊勢市の二見興玉神社にある夫婦岩が古くから夙(つと)に知られ、一般的には「夫婦円満や家内安全」、「海上保安や大漁追福」の象徴や祈願祈念でもあるが、古くは古神道における磐座信仰(いわくらしんこう)といわれるものがあり、自然に存在する象徴的な場所やもののうち、特に巨石、岩、山を神体とし、神が宿る場所として信仰した。そのため注連縄を飾り、鳥居を備えたりして、そこに神が鎮座している(神留まる・かんづまる)証としている。

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また古神道や現在の神道に息づく表裏一体という概念の具現化であり、例えばこの世は、現世(うつしよ)と常世(とこよ)からなるという考えや、七福神のうち恵比寿と大黒が二柱揃って一つのものとして信仰されたり、また箸や履物を両方そろって一膳や一足という数え方も日本独特といわれる。

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『古事記』においても夫婦の神話が多くあり、イザナミとイザナギからサルタヒコとアメノウズメなどの物語があり、これらが賽の神(さいのかみ)や道祖神(どうそじん)になり、磐座信仰と結び付いていったと考えられている。このことから地蔵や道祖神において夫婦が一体となって象られたり、2つの大小の岩や石像が一対となったものが祀られている。このような夫婦信仰とも言われるものが世の中に時代とともに広まり、身近なところでは夫婦茶碗などになり、同時に戸主や家といった家族という枠組みを作る上での、子作り・子育て・子宝信仰にも深く関わっているそうだ。

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これら磐座信仰と表裏一体と夫婦信仰(夫婦和合ともいい、子孫繁栄や祖霊信仰の根幹でもある)という考えが、一体となって祀られる対象となったものが、夫婦岩である。

大注連縄(おおしめなわ)の例として、三重県伊勢市二見町江の立石(たていし)が挙げられる。「夫婦岩」と呼ばれている立石と根尻岩を結ぶ大注連縄は、沖にある興玉神石の鳥居とされており、12月(正月前)と5月、9月の年3回、二見興玉神社の氏子らの手で、より合わされ、張り替えられるそうだ。張替神事の間、木遣り歌が歌われ、古い縄の切れ端を夫婦円満のお守りとして持ち帰る人もいるそうだ。

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夫婦岩の沖合約700mの海中に沈む、祭神・猿田彦大神縁の興玉神石を拝する神社であり、猿田彦大神は天孫降臨の際に高天原と豊葦原中津国の間の道案内を務めたことから、「道開き(導き)の神」といわれている。この神の神使はカエルとされており、神社参拝の後に神徳を受けた人々が、神社の境内にカエルの塑像を献納する。このため、境内には無数のカエルの石像が並んでいる。この神社の授与品もまた「無事カエル」「貸した物がカエル」「お金がカエル」(カエルと帰る・返るの掛詞)と呼ばれるカエルをモチーフにしたものであるようだ。

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古来、伊勢神宮に参拝する前、また、祭典に奉仕する前には、清き渚と称される二見浦で禊(沐浴)を行うのが慣わしであった。現代ではそれに代わるものとして、二見興玉神社で霊草無垢塩草での祓い清めを受ける。これに使う幣は、興玉神石付近で採れる海草(アマモ)である。現在、神宮式年遷宮のお木曳行事やお白石持行事への参加者は浜参宮を行うそうだ。